自動車の保険には、一般的に強制保険と呼ばれている「自賠責保険(自動車賠償責任保険)」と、任意保険の「自動車保険」があります。
強制保険の「自賠責保険」は、車の用途車種と保険期間によって保険料が決まっていて、事故の有無にかかわらず保険料は一律です。
参考 自賠責保険(強制保険)とは?初心者にも分かりやすく説明
しかし、任意保険の「自動車保険」は、車の用途車種と保険期間(基本的に1年間)以外にも、事故の有無により増減する等級(ノンフリート等級)制度に応じて、保険料が決定します。
自動車保険の等級とは
自動車保険の等級は、損害保険会社が共同で運用している制度で、日本の損害保険会社のみならず外資系の損害保険会社も含め、損害保険会社間の乗り換え時の等級引継ぎが可能です。
1等級から20等級に区分され、事故の有無(正確には保険金を請求するか、請求しないか ※1)によって、自動車保険の更新時に等級が増減し保険料に影響します。
保険料の割増率は1等級が最大で、保険料の割引率は20等級が最大です。
自動車保険の等級 | 1等級 | ⇔ | 20等級 |
---|---|---|---|
自動車保険の保険料 | 高い | ⇔ | 安い |
なお、同じ等級でも「事故あり ※2」より「事故なし」の方が割引率が高く、保険料が安くなります。
※2:例えば3等級ダウン事故の場合は次年度から3年間、1等級ダウン事故の場合は次年度から1年間、「事故あり係数」が適用され通常より割高になります。
自動車保険の「純新規契約」は6等級か7等級でスタート
初めて自動車保険に加入(純新規契約)する場合、1等級からでなく6等級からスタートしますが、セカンドカー割引(複数所有新規)を利用すれば7等級からお得にスタートできます。
Q:複数所有新規(セカンドカー割引)とは?
A:通常、初めて自動車保険を契約する場合、ノンフリート等級(無事故割引等級)は6等級が適用されますが、2台目以降の車に初めて自動車保険を契約する場合は7等級が適用されます。
この複数所有新規は以下の条件を満たした場合に適用されます。
1.1台目の車に適用されている等級が11等級以上であること。
2.1台目および2台目以降の車がいずれも以下の用途車種であること。
・自家用普通乗用車
・自家用小型乗用車
・自家用軽四輪乗用車
・自家用軽四輪貨物車
・自家用小型貨物車
・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
・特種用途自動車(キャンピング車)
3.他の契約の車の所有者と、今回見積りする車の所有者が共に個人であること。
(所有者がディーラー、ローン会社、リース業者(1年以上のリース)の場合には、車検証記載の使用者を所有者とみなします)
4.2台目以降の契約の所有者が、1台目の契約の「所有者と同一」または「記名被保険者と同一」または「記名被保険者の配偶者」または「同居の親族」であること。
5.2台目以降の契約の記名被保険者が、1台目の契約の「記名被保険者と同一」または「記名被保険者の配偶者」または「同居の親族」であること。
6等級と7等級に付くアルファベットの意味
6等級および7等級は、自動車保険に始めて加入する時(純新規加入)に適用される等級です。
自動車保険の等級制度は、1等級から20等級まで「数字」で区分されますが、6等級と7等級のみ、「数字+アルファベット」で区分されます。
保険会社により表記の違いが見られますが、一般的な表記の意味は以下のとおりです。
等級 | 意味 |
---|---|
6S | 他社含め自動車保険に初加入の「純新規契約」 |
6A | 他社含め自動車保険に初加入で年齢条件「年齢制限なし」 |
6B | 他社含め自動車保険に初加入で年齢条件「21歳以上を補償」 |
6C | 他社含め自動車保険に初加入で年齢条件「26歳以上を補償」 |
6E | 他社含め自動車保険に初加入で年齢条件「30歳以上を補償」 |
6G | 他社含め自動車保険に初加入で年齢条件「35歳以上を補償」 |
6F | 他社含め自動車保険前年契約ありの「継続契約」 |
7S | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)の「純新規契約」 |
7A | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)で年齢条件「年齢制限なし」 |
7B | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)で年齢条件「21歳以上を補償」 |
7C | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)で年齢条件「26歳以上を補償」 |
7E | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)で年齢条件「30歳以上を補償」 |
7G | 他社含め自動車保険に初加入(セカンドカー割引適用)で年齢条件「35歳以上を補償」 |
7F | 他社含め自動車保険前年契約ありの「継続契約」 |
等級ダウン数は事故の種類で違う
自動車保険の等級は、事故を起こし保険金を請求すると基本的に「3等級ダウン」します。
しかしながら、事故の種類によっては「1等級ダウン」や「ノーカウント」の場合もあります。
3等級ダウン事故 | 基本的な事故(他人の物を壊す・他人を死傷させる・自分の車を壊す等)で保険金を請求した場合 |
---|---|
1等級ダウン事故 | 自然災害(台風・竜巻・洪水・高潮)、盗難、火災爆発・飛来落下物との衝突・いたずら落書き・窓ガラス破損・騒じょう労働争議で車両保険を請求した場合 |
ノーカウント事故 | 弁護士特約・個人賠償特約・ファミリーバイク特約・人身傷害・搭乗者障害のみを使った場合 |
上記は一例であり概要ですので、詳細は契約保険会社の「重要事項説明書」や「契約のしおり」、「約款」等をご確認ください。
まとめ
- 自動車保険の等級(ノンフリート等級)は、損害保険会社が共同で運用している制度で、1等級から20等級に区分される。
- 初めて自動車保険に加入(純新規加入)する場合、6等級または7等級(セカンドカー割引適用時)からスタートする。
- 自動車保険の等級制度は、1等級から20等級まで「数字」で区分されるが、6等級と7等級のみ、「数字+アルファベット」で区分される。
- 等級ダウン数は、事故の種類により異なり、基本的な「3等級ダウン事故」、「1等級ダウン事故」、「ノーカウント事故」に分類される。
自動車保険の等級について、以下の記事も参考にしてください。
参考記事 自動車保険の等級についてよくある質問と回答(FAQ)
参考記事 自動車保険会社間で確認する等級関連の情報交換制度とは
当サイト内のコンテンツ『自動車保険の見積相場比較記事早見表』から、あなたの状況と近い記事を読むと、自動車保険の相場や選び方のコツなど参考になると思います。