ダイレクト型(通販タイプ)の自動車保険が誕生する前は、走行距離区分など現在主流になりつつあるリスク細分型自動車保険は無いに等しく、走行距離は無制限が主流でした。
走る分だけ保険料を払う自動車保険の仕組みとは、一体どうなっているのでしょう。
目次
年間走行距離と自動車保険の関係
年間走行距離が短ければ短いほど、基本的に自動車保険料は割安になります。
逆に言えば、自動車を運転している時間が長くなるほど、事後に遭う確率は高くなりますから自動車保険料も高くなります。
走行距離が短い人は、従来型の自動車保険(走行距離区分:無制限のみ)より、年間走行距離区分が細かく設定されているリスク細分型自動車保険の方が、保険料は安くなる確率が高いでしょう。
自身の年間走行距離がどのくらいになるか、目安となる表は以下のとおりです。
1日の走行距離 | 年間走行距離区分 | 保険料の高低差 | 自動車の使用目安 |
---|---|---|---|
平均8km程度 | 3,000km以下 | 保険料が最も安い | 自動車にあまり乗らない |
平均14km程度 | 5,000km以下 | ↓ | 近所の買い物などがメイン |
平均19km程度 | 7,000km以下 | ↓ | 毎日使用、月1回長距離運転 |
平均24km程度 | 9,000km以下 | ↓ | 毎日使用、月3回長距離運転 |
平均30km程度 | 11,000km以下 | ↓ | 毎日使用、月5回長距離運転 |
平均43km程度 | 16,000km以下 | ↓ | 毎日長距離運転する |
平均44km以上 | 無制限 | 保険料が最も高い | 毎日超長距離運転する |
※年間走行距離区分は保険会社により異なります。
年間走行距離の決め方や距離区分の違い
上の表からも分かるように、自動車保険料は走行距離が増えるほど高くなります。
では実際に、自動車保険会社毎の年間走行距離算出基準は、どの様になっているのでしょうか。
『今後1年間の予想走行距離』と『過去1年間の実走行距離』の2タイプを算出基準に採用しています。
今後1年間の予想走行距離が算出基準の自動車保険会社比較表
年間走行距離の算出基準に、『今後1年間の予想走行距離』を採用している保険会社は、ソニー損保、チューリッヒ保険、アクサダイレクトです。
年間走行距離区分が細かい順に、自動車保険会社を比較した一覧表です。
ー | ソニー損保 (ソニー損害保険株式会社) |
チューリッヒ保険 (チューリッヒ保険会社日本支店) |
アクサダイレクト (アクサ損害保険株式会社) |
---|---|---|---|
年間走行距離区分 | 【7区分】 3,000km以下 5,000km以下 7,000km以下 9,000km以下 11,000km以下 16,000km以下 無制限 |
【5区分】 3,000km以下 5,000km以下 10,000km以下 15,000km以下 15,000km超 |
【3区分】 5,000km未満 10,000km未満 10,000km以上 |
主要株主 [資本金・従業員数] |
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社 [200億円・1351名(2020年3月31日現在)] |
チューリッヒ・インシュアランス・グループ [324億3,300万円(持込資本金)(2019年度)・約1,140人(スタッフ社員含む)(2020年3月末現在)] |
アクサ生命保険株式会社 [172億2,150万円・922名(2020年3月31日現在)] |
(自動車保険LAB調べ)
ソニー損保、チューリッヒ保険、アクサダイレクトは、変更手続きが必要です。
ただし、ソニー損保は「こえても安心サービス」を付けている場合は手続き不要。
過去1年間の実走行距離が算出基準の自動車保険会社比較表
年間走行距離の算出基準に、『過去1年間の実走行距離』を採用している保険会社は、三井ダイレクト損保、SBI損保、おとなの自動車保険、イーデザイン損保です。
年間走行距離区分が細かい順に、自動車保険会社を比較した一覧表です。
ー | 三井ダイレクト損保 (三井ダイレクト損害保険株式会社) |
SBI損保 (SBI損害保険株式会社) |
おとなの自動車保険 (セゾン自動車火災保険株式会社) |
イーデザイン損保 (イーデザイン損害保険株式会社) |
---|---|---|---|---|
年間走行距離区分 | 【8区分】 3,000km以下 5,000km以下 7,000km以下 10,000km以下 12,000km以下 15,000km以下 20,000km以下20,000km超 |
【4区分】 5,000km以下 10,000km以下 15,000km以下 15,000km超 |
【5区分】 3,000km以下 5,000km以下 10,000km以下 15,000km以下 15,000km超 |
【6区分】 3,000km以下 5,000km以下 10,000km以下15,000km以下 20,000km以下 20,000km超 |
主要株主 [資本金・従業員数] |
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 三井物産株式会社 三井住友信託銀行株式会社 大樹生命保険株式会社 株式会社三井住友銀行 [391億600万円・552名(2020年3月31日現在)] |
SBI損害保険株式会社 [409億円・695 名(2020年3月31日現在)] |
損害保険ジャパン日本興亜株式会社 株式会社クレディセゾン [322億6,000万円・812人(2020年3月31日現在)] |
東京海上ホールディングス NTTファイナンス [586億7百万円・293名(2020年3月31日現在)] |
(自動車保険LAB調べ)
三井ダイレクト損保、SBI損保、おとなの自動車保険、イーデザイン損保は、区分変更や追加支払いは不要です。
申込時に答えた過去1年間の走行距離で保険料は決まっているので、保険期間中に連絡する必要はなく、現在の走行実績は次回の継続時に答えましょう。
普通車と軽自動車で走行距離区分別の保険料を実際に比較実施してみた結果は?
普通自動車と軽自動車で走行距離区分別に見積もりを取ると、どのくらいの保険料の差が出るのでしょうか。
それでは実際に、普通車はトヨタ『アクア』、軽自動車はスズキ『ワゴンR』で見積りを取ってみましたので、以下を御覧ください。
車種以外は同条件です。
普通車:トヨタ『ヤリス』の場合
・2020(令和2)年4月 発売モデル
・トヨタ新世代コンパクトカー「ヤリス(YARIS)」
普通車の見積もり条件
・自動車保険の見積もり時点で、他社にて契約している車
・現在の自動車保険の契約は1年契約
・記名被保険者は1982(昭和57)年7月生まれの38歳
車の型式 | 6AA-MXPH10 |
---|---|
初度登録年月 | 令和2(2020)年5月 |
保険期間 | 2021年5月31日から2022年5月31日 |
事故件数 | 0件 |
事故有係数適用期間 | 0年 |
免許証の色 | ゴールド |
運転者限定範囲 | 本人・配偶者限定 |
記名被保険者の年齢条件 | 30歳以上限定 |
使用目的 | 主に家庭用(通勤用含む) |
保険証券 | 発行しない |
等級 | 18等級 |
補償内容 | 対人賠償金額:無制限 対物賠償金額:無制限 人身傷害保険金額:3,000万 搭乗者傷害保険金額:無 無保険車傷害保険額:無制限(人身傷害で補償) 車両保険の有無:あり(200万:免責5-10万) |
普通車の見積もり結果
契約距離区分 | 3,000 km以下 |
5,000 km以下 |
7,000 km以下 |
9,000 km以下 |
11,000 km以下 |
16,000 km以下 |
無制限 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
支払保険料 | 31,960 円/年 | 34,490 円/年 | 36,770 円/年 | 40,340 円/年 | 42,770 円/年 | 50,680 円/年 | 54,290 円/年 |
(自動車保険LAB調べ)
自家用小型乗用車『ヤリス』の契約距離区分の最大(無制限)と最小(3,000km以下)の差額は、54,290円ー31,960円=22,330円(年間)という結果でした。
軽自動車:ホンダ『N-BOX』の場合
・2019(令和元)年10月 発売モデル
・ホンダ最量販軽自動車「N-BOX」
軽自動車の見積もり条件
・自動車保険の見積もり時点で、他社にて契約している車
・現在の自動車保険の契約は1年契約
・記名被保険者は1982(昭和57)年7月生まれの38歳
車の型式 | 6BA-JF3 |
---|---|
初度登録年月 | 令和2(2020)年5月 |
保険期間 | 2021年5月31日から2022年5月31日 |
事故件数 | 0件 |
事故有係数適用期間 | 0年 |
免許証の色 | ゴールド |
運転者限定範囲 | 本人・配偶者限定 |
記名被保険者の年齢条件 | 30歳以上限定 |
使用目的 | 主に家庭用(通勤用含む) |
保険証券 | 発行しない |
等級 | 18等級 |
補償内容 | 対人賠償金額:無制限 対物賠償金額:無制限 人身傷害保険金額:3,000万 搭乗者傷害保険金額:無 無保険車傷害保険額:無制限(人身傷害で補償) 車両保険の有無:あり(170万:免責5-10万) |
軽自動車の見積もり結果
契約距離区分 | 3,000 km以下 |
5,000 km以下 |
7,000 km以下 |
9,000 km以下 |
11,000 km以下 |
16,000 km以下 |
無制限 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
支払保険料 | 29,220 円/年 | 31,520 円/年 | 33,590 円/年 | 36,860 円/年 | 39,080 円/年 | 46,300 円/年 | 49,590 円/年 |
(自動車保険LAB調べ)
軽自動車『ワゴンR』の契約距離区分の最大(無制限)と最小(3,000km以下)の差額は、49,590円ー29,220円=20,370円(年間)という結果でした。
まとめ
普通車のトヨタ『アクア』と軽自動車のスズキ『ワゴンR』で、実際に見積りを取って比較した結果を見て、どのように感じたでしょうか。
- 契約距離区分の最大(無制限)の差額は、54,290 円ー49,590 円=4,700円(年間)
- 契約距離区分の最小(3,000km以下)の差額は、31,960 円ー29,220 円=2,740円(年間)
普通車と軽自動車の差額は、毎日超長距離運転する人などが対象の無制限で約5千円の開きがありました。
基本的に走る距離が多い程、自動車保険料は割高になりますが、走行距離区分が同じだとしても、保険会社によって保険料が違います。
お得で安い保険料の自動車保険を調べるために、各損保会社を手当たり次第調べると、膨大な時間を必要とします。
このような場合には自動車保険一括見積りサービスを利用して2社から3社に絞り、次に損保会社の公式サイトから見積りを取って最終確認すると、時間を大幅に節約できるので覚えておきましょう。
当サイト内のコンテンツ『自動車保険の見積相場比較記事早見表』から、あなたの状況と近い記事を読むと、自動車保険の相場や選び方のコツなど参考になると思います。
合言葉は「時は金なり」です。